VLAN・ネットワーク分離技術
VLAN(Virtual LAN)は、物理的な接続形態とは独立して仮想的なネットワークグループを作成する技術です。近年では、データセンターネットワークの大規模化に伴い、VXLANやEVPNといった新しい分離技術も出題されています。
VLANの基礎
Section titled “VLANの基礎”VLANの種類
Section titled “VLANの種類”| 種類 | 説明 | 特徴 |
|---|---|---|
| ポートベースVLAN | スイッチのポートごとにVLAN IDを割り当てる | 設定が簡単だが、物理的な配線変更が必要な場合に手間がかかる |
| タグVLAN | Ethernetフレームにタグ情報を付加する | 1本のリンクで複数のVLANを識別可能(トランクリンク) |
| MACアドレスベースVLAN | MACアドレスに基づいてVLANを決定する | 端末が移動しても同じVLANに所属できる |
タグVLANでは、Ethernetフレームの送信元MACアドレスとタイプフィールドの間に4バイトのタグを挿入します。
タグの構造:
- TPID (Tag Protocol Identifier): 0x8100 (固定)
- TCI (Tag Control Information):
- PCP (Priority Code Point): 優先制御用 (3bit)
- DEI (Drop Eligible Indicator): 廃棄適性 (1bit)
- VID (VLAN ID): VLAN識別子 (12bit, 1-4094)
ネイティブVLAN
Section titled “ネイティブVLAN”トランクリンク上でタグを付けずに送受信されるVLANです。通常はVLAN 1がデフォルトですが、セキュリティ上の理由から変更することが推奨されます。
VLAN間ルーティング
Section titled “VLAN間ルーティング”異なるVLAN間の通信には、ルーターやL3スイッチによるルーティングが必要です。
- SVI (Switch Virtual Interface): L3スイッチ内部に作成される仮想インターフェース。各VLANのデフォルトゲートウェイとして機能します。
VXLAN (Virtual Extensible LAN)
Section titled “VXLAN (Virtual Extensible LAN)”従来のVLAN ID(12bit、最大4094個)では大規模データセンターやクラウド環境で不足するため、**24bitのVNI(VXLAN Network Identifier)**を使用して最大約1600万個のセグメントを作成できる技術です。
VXLANの仕組み
Section titled “VXLANの仕組み”L2フレームをUDPパケットでカプセル化し、L3ネットワーク上でトンネリングします(L2 over L3)。
- VTEP (VXLAN Tunnel End Point): VXLANのカプセル化・非カプセル化を行う端点。物理スイッチや仮想スイッチ(vSwitch)がこの役割を担います。
- オーバーレイネットワーク: 物理網(アンダーレイ)の上に構築される論理的なネットワーク。
EVPN (Ethernet VPN)
Section titled “EVPN (Ethernet VPN)”VXLANはデータプレーンのプロトコルですが、EVPNは**BGP (MP-BGP)** をコントロールプレーンとして使用し、VXLANネットワークの制御を行う技術です。
従来の課題とEVPNの解決策
Section titled “従来の課題とEVPNの解決策”| 課題 | 従来 (Flood & Learn) | EVPN (BGP) |
|---|---|---|
| MACアドレス学習 | データプレーンでのフラッディングによる学習 | コントロールプレーン (BGP) で事前にMAC情報を広告 |
| 無駄なトラフィック | BUMトラフィックが網全体に流れる | 必要なVTEPのみに転送、ARP抑制などが可能 |
| マルチホーミング | 冗長化が複雑 (STP等) | Active-Active構成が容易に実現可能 |
EVPNの動作イメージ
Section titled “EVPNの動作イメージ”EVPNの主要なルートタイプ:
- Type 2 (MAC/IP Advertisement Route): ホストのMACアドレスとIPアドレスを広告。
- Type 3 (Inclusive Multicast Ethernet Tag Route): BUMトラフィック(Broadcast, Unknown unicast, Multicast)の転送先VTEPを広告。
- Type 5 (IP Prefix Route): 外部ネットワークへのプレフィックス情報を広告。
試験対策のポイント
Section titled “試験対策のポイント”- タグVLANのフレーム構造: 4バイトのタグがどこに挿入されるか、TPIDの値(0x8100)などを理解する。
- VXLANの目的と構造: VLAN ID枯渇問題への対応、L2 over L3、UDPカプセル化(ポート4789)といったキーワードを押さえる。
- EVPNのメリット: 従来の「Flood & Learn」方式との違い、BGPを使ってMACアドレスを学習する仕組み、Active-Active構成が可能な点を理解する。
- ネットワーク分離: 物理的な分離と論理的な分離(VLAN, VRF)の違いや、セキュリティゾーンの設計における活用法。