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VLAN・ネットワーク分離技術

VLAN(Virtual LAN)は、物理的な接続形態とは独立して仮想的なネットワークグループを作成する技術です。近年では、データセンターネットワークの大規模化に伴い、VXLANEVPNといった新しい分離技術も出題されています。

種類説明特徴
ポートベースVLANスイッチのポートごとにVLAN IDを割り当てる設定が簡単だが、物理的な配線変更が必要な場合に手間がかかる
タグVLANEthernetフレームにタグ情報を付加する1本のリンクで複数のVLANを識別可能(トランクリンク)
MACアドレスベースVLANMACアドレスに基づいてVLANを決定する端末が移動しても同じVLANに所属できる

タグVLANでは、Ethernetフレームの送信元MACアドレスとタイプフィールドの間に4バイトのタグを挿入します。

graph LR
    subgraph original["通常のイーサネットフレーム"]
        DA1[宛先MAC]
        SA1[送信元MAC]
        TYPE1[タイプ]
        DATA1[データ]
    end

    subgraph tagged["802.1Q タグ付きフレーム"]
        DA2[宛先MAC]
        SA2[送信元MAC]
        TAG["802.1Qタグ<br/>(4バイト)"]
        TYPE2[タイプ]
        DATA2[データ]
    end

    original -->|"タグ挿入"| tagged

    style TAG fill:#ffcdd2,stroke:#d32f2f

タグの構造:

  • TPID (Tag Protocol Identifier): 0x8100 (固定)
  • TCI (Tag Control Information):
    • PCP (Priority Code Point): 優先制御用 (3bit)
    • DEI (Drop Eligible Indicator): 廃棄適性 (1bit)
    • VID (VLAN ID): VLAN識別子 (12bit, 1-4094)

トランクリンク上でタグを付けずに送受信されるVLANです。通常はVLAN 1がデフォルトですが、セキュリティ上の理由から変更することが推奨されます。


異なるVLAN間の通信には、ルーターやL3スイッチによるルーティングが必要です。

graph TB
    subgraph l3sw["L3スイッチ"]
        ROUTING[("ルーティング機能")]
        SVI10["VLAN 10<br/>インターフェース<br/>(192.168.10.1)"]
        SVI20["VLAN 20<br/>インターフェース<br/>(192.168.20.1)"]
    end

    subgraph l2["L2スイッチング機能"]
        PORT1["ポート1<br/>(VLAN 10)"]
        PORT2["ポート2<br/>(VLAN 20)"]
    end

    PC_A["PC A<br/>(192.168.10.10)"]
    PC_B["PC B<br/>(192.168.20.10)"]

    PC_A --> PORT1
    PORT1 --> SVI10
    SVI10 <-->|"L3ルーティング"| ROUTING
    ROUTING <--> SVI20
    SVI20 --> PORT2
    PORT2 --> PC_B

    style ROUTING fill:#e3f2fd
    style SVI10 fill:#fff3e0
    style SVI20 fill:#fff3e0
  • SVI (Switch Virtual Interface): L3スイッチ内部に作成される仮想インターフェース。各VLANのデフォルトゲートウェイとして機能します。

従来のVLAN ID(12bit、最大4094個)では大規模データセンターやクラウド環境で不足するため、**24bitのVNI(VXLAN Network Identifier)**を使用して最大約1600万個のセグメントを作成できる技術です。

L2フレームをUDPパケットでカプセル化し、L3ネットワーク上でトンネリングします(L2 over L3)。

graph TB
    subgraph original["元のL2フレーム"]
        PAYLOAD["データ"]
        L2H["L2ヘッダ"]
    end

    subgraph vxlan["VXLANパケット"]
        OUTER_L2["外側L2ヘッダ"]
        OUTER_IP["外側IPヘッダ"]
        UDP["UDPヘッダ"]
        VXLAN_H["VXLANヘッダ<br/>(VNI含む)"]
        INNER_L2["内側L2ヘッダ"]
        INNER_DATA["データ"]
    end

    L2H -.-> INNER_L2
    PAYLOAD -.-> INNER_DATA

    style VXLAN_H fill:#c8e6c9,stroke:#388e3c
    style OUTER_IP fill:#bbdefb
    style UDP fill:#bbdefb
  • VTEP (VXLAN Tunnel End Point): VXLANのカプセル化・非カプセル化を行う端点。物理スイッチや仮想スイッチ(vSwitch)がこの役割を担います。
  • オーバーレイネットワーク: 物理網(アンダーレイ)の上に構築される論理的なネットワーク。

VXLANはデータプレーンのプロトコルですが、EVPNは**BGP (MP-BGP)** をコントロールプレーンとして使用し、VXLANネットワークの制御を行う技術です。

課題従来 (Flood & Learn)EVPN (BGP)
MACアドレス学習データプレーンでのフラッディングによる学習コントロールプレーン (BGP) で事前にMAC情報を広告
無駄なトラフィックBUMトラフィックが網全体に流れる必要なVTEPのみに転送、ARP抑制などが可能
マルチホーミング冗長化が複雑 (STP等)Active-Active構成が容易に実現可能
sequenceDiagram
    participant HOST_A as ホストA
    participant VTEP1 as VTEP1
    participant RR as BGP RR<br/>(ルートリフレクタ)
    participant VTEP2 as VTEP2
    participant HOST_B as ホストB

    Note over HOST_A, VTEP1: 1. ホストAが接続
    VTEP1->>VTEP1: MAC/IPを学習
    VTEP1->>RR: BGP Update (Type 2 Route)<br/>MAC/IP情報を広告
    RR->>VTEP2: BGP Update (Type 2 Route)
    VTEP2->>VTEP2: MAC/IP情報をテーブルに登録

    Note over HOST_A, HOST_B: 通信開始
    HOST_A->>VTEP1: データ送信
    VTEP1->>VTEP2: VXLANカプセル化して送信<br/>(フラッディング不要)
    VTEP2->>HOST_B: カプセル化解除して転送

EVPNの主要なルートタイプ:

  • Type 2 (MAC/IP Advertisement Route): ホストのMACアドレスとIPアドレスを広告。
  • Type 3 (Inclusive Multicast Ethernet Tag Route): BUMトラフィック(Broadcast, Unknown unicast, Multicast)の転送先VTEPを広告。
  • Type 5 (IP Prefix Route): 外部ネットワークへのプレフィックス情報を広告。

  1. タグVLANのフレーム構造: 4バイトのタグがどこに挿入されるか、TPIDの値(0x8100)などを理解する。
  2. VXLANの目的と構造: VLAN ID枯渇問題への対応、L2 over L3、UDPカプセル化(ポート4789)といったキーワードを押さえる。
  3. EVPNのメリット: 従来の「Flood & Learn」方式との違い、BGPを使ってMACアドレスを学習する仕組み、Active-Active構成が可能な点を理解する。
  4. ネットワーク分離: 物理的な分離と論理的な分離(VLAN, VRF)の違いや、セキュリティゾーンの設計における活用法。
mindmap
  root((ネットワーク分離))
    VLAN
      タグVLAN 802.1Q
      ポートベース
      VLAN間ルーティング
    仮想化技術
      VRF Virtual Routing and Forwarding
      オーバーレイ
    VXLAN
      VNI 24bit
      UDPカプセル化
      L2 over L3
    EVPN
      MP-BGP
      コントロールプレーン学習
      BUMトラフィック抑制